カノン/相沢邑人
流行りの歌しか聴かない君が
着メロにしてるのは名曲カノン
君らしくないねとからかう僕に
だって好きなんだもんとはにかんだ
すれ違いが目立ち始めた昨年の夏
焦りとは逆に僕らの溝は深まるばかり
ぎこちない食事を終えた君の決断は
離れた方がいいような気がする
二人で初めて歩いた駅前の雑踏を
白い息を吐いて通り抜ける
行き交う人々はみんな楽しそうで
僕の心は孤独でいっぱいになった
車のエンジン音に紛れる名曲カノン
思わず振り向いた視線の先には
携帯を開ける君とは違う女性
カノンに幻を重ねた僕は
寂しさで胸が張り裂けそうになり
逃げるように人ごみを走り去った
>> イメージ画像付きの「カノン」
http://www.readtoyou.net/poem/canon.html
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