深海魚のふるさと/石川和広
 
夕暮れに!
夕暮れに!
またやってくる
憂鬱が
ひとりでに
しらずに
ぼやーんと

空は黄色い
セミがないている

深い海の底から
僕はひとり
彼女は出かけた
見えないもので
つながっているのに
僕はひとり

ぼやーんとしている
メールをうっている
詩集が
届いたらしいので
うれしいのに
その気持ちと
矛盾せず
それでもひとりに
戦慄

何が起きているのか
ああ憂鬱

底から考える
僕たちは
深いところで
やわらかく
つながっている
なぜ
一人を感じるのか

ブックオフに行ってきた
昼の深海魚が
書架の回りを
とま
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