いつか行った祖父の生まれ故郷へ/yuma
 
ファーのキスだったり
全身に刺青の入ったおっさんの全裸だったり
若き相撲取りの乳首のアップだったりするのだけれど
どんな繋がりがあるかも日記を書いた当人にしかわからない。
ときたま当人にもわからないような奴も混じってる。
そんなこともある。

あるのは自転車と寝袋と虫除けスプレーだけ。財布すらもない。
来た道を戻ろうとしないのは意地なのか根性なのか。
正直、もうそれすらも判断がつかない。
実は戻るという考えが浮かばないだけなのかも知れない。
いつのまにか食べられる野草も覚えた。
尻やら太ももも・痛いのが普通になってしまった。
いい加減、しかめっ面にももう慣れた。困るのも悪くない。
だがしかしもう二度と自転車なんてものには乗らない。絶対に。

最南端の海についたら、ひとしきり叫んで旅に出たことを後悔しよう。
もしかしたら家に帰るまでに自分の日記を読み返すなんてこともあるかもしれない。
そんなことを思いながら、またペダルを漕ぎ出す。
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