いつか行った祖父の生まれ故郷へ/yuma
 
革が剥げてしまったサドルをすっかり厚くなってしまった掌で撫ぜる。
顰め面にも何故か慣れた。
サドルからは紐が伸びていて物々しいバッグが括ってある。
膨れ上がったバッグの外ポケットには、初めて買った分厚い日記帳。
いつのまにかボロボロになってしまった日記帳の中身には
走り書きもいいところで自分にしか読めない字。
今のところ読み返したりはしない。書く一方だが、それが楽しくて仕方ない。

ほとんど日付の脇には記号が振ってある。撮った写真を忘れないためだ。
撮った写真は殆どが風景だけれど、たまに人が写っている。
それは
腰が直角に曲がったばあさんだったり
ビキニの女子高生とサーファ
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