さよなら夏/
落合朱美
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた
さよなら
さよなら
さよなら
夏
駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾をひっぱって
てとらぽっとは引き止めた
さよなら
さよなら
さよなら
てとらぽっと
手を振る夏
涙ぐむてとらぽっと
ボクはまたひとりぼっちと
駄々をこねるから
夏はすこし困り顔
海が琥珀に暮れたとき
やさしい風が
夏の背中をそっと押した
戻る
編
削
Point
(19)