さよなら夏/落合朱美
 
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた

さよなら
さよなら
さよなら


駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾をひっぱって
てとらぽっとは引き止めた

さよなら
さよなら
さよなら
てとらぽっと

手を振る夏
涙ぐむてとらぽっと

ボクはまたひとりぼっちと
駄々をこねるから
夏はすこし困り顔


海が琥珀に暮れたとき
やさしい風が
夏の背中をそっと押した






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