狂い雨サンダーロード/恋月 ぴの
夏空が泣きはらす
夕立の前はやたら蒸し暑い。
渦を巻く熱気のせいで
僕は下着までびちょびちょだよ。
君は美少女の小窓。
今はエアコンの優しさが
君の胎内を潤しているから
とりあえず君の小窓は閉じたまま。
夕立雲はお天気姉さんの
何かの重さをはかるような
柔らかい仕草から湧き出して
僕の頭のまわりを包囲する。
ぽつりぽつり来たかと思ったら
あっという間に
お台場海浜公園で拾った蟹の甲羅みたいな
汐臭さを伴って土砂降りだよ。
小窓から君を覗くと
白いレースのワンピースから青い水玉模様が透けていて
「あら、お外は雨で大変ね」
だなんて、まるで他人事の
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