九月になれば/tonpekep
 
九月になれば
誰かが語る
わたしは頷いてみる
そこに誰かはいない
誰かが語る
語り尽くせないほどたくさんの物語を

空には大きなノートが広がっている
鳥はそこに詩を描く
誰かが語る
それは空を見上げる世界中の人々をやさしくさせる

九月になれば
誰かが語る
それはとっても重いから
この星は安心して
風や海や体温を抱きしめていられる

九月になれば
誰かが語る
昔も今も未来も
誰かが語る
わたしらは夢中になって誰かを見つめる
そこに誰かはいなくても

九月になれば
語りはじめたところから
あらゆるものが実りだす

それをもぎとる
たとえばわたしの手の中に
愛の物語があったって良い

九月になれば
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