遺跡の恋人/たりぽん(大理 奔)
 
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす

生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい

幾億もの命が積み重なってできあがった
この草っぱらに
今度は僕が重なる順番のようだ
きっと、そうやってつながっていく




コンクリート煉瓦の駅前広場で
ドーンとひっくり返って
ビルの屋上に手を伸ばす

風のきっかけは、いつも上昇気流
ほんのわずかな体温が生み出す、性質の変化だ
いつか、激しく時代を吹き抜け
全てのうわべを吹き飛ばす

生命を覆ったアスファルトも
僕の仮面も持ち去って
縄文貝塚のように吹き溜まって
何千年もたって
頑固な考古学者が
僕たちを発見する



そう、
誰もが生きて
つながった
せめてもの証として

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