泣いてばかりいた - 1975年08月29日(金)/ともちゃん9さい
 
いママの為の父、ままちちは、
いい男だったけど私にやさしくしてくれなかった。

りえちゃんがソファの上にねかしつけられて、
脚をカエルみたいにバネバネしてる。
落ちればいいのにとおもった。
りえちゃんのからだをソファぎりぎりにずらした。
どん。
りえちゃん落ちた。泣いた。
母が来た。私は何も言わなかった。りえちゃんは大丈夫だった。
やがて母とままちちは毎日けんかをするようになった。
母は包丁持ち出して叫んだ。私は子供らしく泣いて止めた。
ままちち出て行って、りえちゃん2歳。
りこんちょーてーというやつで、
ままちちとりえちゃんが一緒に暮らすことに決まった。
前の日りえちゃんと寝た。
保育園から帰ってきたらりえちゃんはいなかった。
あれから会ってない。

母は永ちゃんのレコード全部捨てた。
私は付属小学校エリート街道捨てた。
ばあちゃんはじいちゃんと必死で建てた家と広い庭の植物たちを捨てた。
札幌に出てきた。
その家は動物を飼ってはいけなかった。
私たちはじみにゃんとわんさくんを捨てた。汽車の中で泣いた。
戻る   Point(17)