蝉の夜/かや
蝉は夜企んでいる
おてんとさまが顔を見せたら
どんな風に吠えてやろう
入道雲を飛び越えて
知らぬ街まで響かせようか!
蛙たちの雑談に
まぎれた樹の幹
食い込むほど爪を立て
ひっそりと隠れ待つ
焼けすれ閉じられた羽の
なんと頑ななこと
それでも
知らず知らず思考の果ては
土の世界へ潜り還って
蝉は
いかにも!
我々とおんなじじゃあないか
蝉は夜企んでいる
休む枕もなく
ふと吹いた涼風に
震えるものかと堪えながら
願わくは
プラスチックの虫箱に
どうか収まることのないよう
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