青い花/佐々宝砂
ずんでいました
あたりを探ろうと伸ばした両手には
小さなひっかき傷が無数にありました
このひとがくることはわかっていた と
私は考えてしまうのでした
このひとがくるとわかっていたからこそ
私は青い花を探したのだろう と
そうではないそれは間違っている と思いながらも
私は傲慢な考えから
ほとんど涙を流しそうになるのでした
私はそのひとに一杯の冷えたお茶をあげました
それしかあげられるものがなかったからです
そのひとはこくこくと咽を鳴らしてお茶を飲みました
ありがとう それでは と
そのひとは言って去りました
ぽつねんと立つ私の足元に
青い花が一輪落ちていました
拾い上げようとすると
それは風に溶けて消えました
戻る 編 削 Point(4)