鏡の前で/ベンジャミン
うまく笑おうとすれば
すっかりゆがんでしまったのは
自分の心だと気づいた
小さい頃
クレヨンで描いた自画像は
まるで似ていなかったけれど
それはきっと
心で描いたからなんだ
だからその笑顔も
ずいぶんと幼く見えて
それでも心の底から笑っているようだった
鏡の中の自分が現実と反対に映ることを知ったのは
いったいいつだったろうかと思いながらまた
笑おうとしたら
泣きたい気持ちになってしまった
鏡を割るには充分なほどのこぶしを握って
構えた姿はそのまま恐ろしく映すから
正直なのは
やっぱり鏡の方だった
それでも
こんな僕がときおり見せる笑顔を
褒めてくれる人がいる
いい笑顔だと
言ってくれる人がいる
その言葉なら信じられる自分がいて
それはそのまま僕の心だと思う
今うまく笑えなくても
それでもいいよと言ってくれる
それでもいいのだと
思えるようになってから
鏡の前では笑えなくてもいいと思った
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