カルパチアからエマオまで/がらんどう
と震えながら話し合っていたので、二人もまた道中で起きたことを話し始めた。こういうことを話していると、空が俄にかき曇り、風が戸板を強く打ちつけ、稲光が轟音とともに彼らを強く照らし出した。彼らが稲光に細めた目を開くと、彼らの中心にはイエスその人が立っていた。
「お前たちに平和があるように」とイエスが嘲笑いながら言うと、使徒たちは恐れおののき、亡霊を見ているのだと思った。そこでイエスは言った。「なぜ、うろたえる。どうして迷うのだ。我が手足を見よ。まさしく私だ。触ってみるがいい。亡霊には血肉も骨もないが、お前たちにも見えるとおり、私にはそれがある」。そうして手を差し出して見せた。あまりに怯えて震える彼らをからかうように、イエスは「ここに何か食べ物はあるか」と言った。すると一同の中からマグダラのマリアが歩み出たので、イエスは彼女の身体をマントで包むようにかき抱くと、彼女の白い頸へいやに赤い唇を近づけた。そこに至り、使徒たちは腰のライトセイバーを抜いたが、それもまた別の話である。むろん、一つの指輪や九人の幽鬼のこともまた別の話である。
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