羅鱶/
錐
側線でもって世界を知る生き物が見る夢は
ただまっくらなのか
水音なのか
それは本人以外にとってたいした問題ではなく
時折陽光にさらされるときのグロテスクなかたちは
本人にとってたいした問題ではない
水流が体の横をかすめてゆく
世界はゆっくりと流れるように動く
羅鱶はそれを知っていた
どこかの魚の発光器が僅かに灯る
世界が本来暗がりであること
羅鱶はそれを知っていた
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