母よ/あるふぁ
 
 母よ、
 あなたが逝ってから4回目のお盆が来る。
 冬のその日
 あなたは目の前で痰をつまらせたような
 ごぼという喉音をしたあと
 静かになった。
 ああ、この瞬間(とき)、母は死んだと
 私にはわかった。
 いま、父はあなたがいない家に独り寝る。
 夜中に目覚めてあなたを探し、ああ他には誰も
 居ないのだと気づく時の寂しさよ
 と、父は言う。
 母よ、適当な時に迎えてあげて欲しい
 父を。

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