音 ?/木立 悟
 




なにもかもが
羽のようにわかり
涙する
遠くの火が
空を揺らす


ねむりつづける花
ねむりつづける草
不夜を誇るものたちに
とどかない原の火


風が風のなかにかたちをつくり
湿った風景を押しやってゆく
ひと気のない
真新しい工場の群れの上に
ひろがる青空
誰もいない道を
霧だけが去ってゆく


雨がつくる奥ゆき
古い樹に咲くヤドリギ
地の春を
真昼を
空へ連れてゆく






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