海を毟る/黒川排除 (oldsoup)
 

煙や雲を想念のごとく信じている生け贄に対して求められている超然とした態度、
今から奪われる呼吸。誰かの呼吸が強くなる。そのための略奪でなければ。

波打ち際にひとの血が張った膜は冷たい。それらは生きていない。
執拗な断定を甘んじて受けるとしても天候は変わらない。それらは目覚めていない
脚や影になった脚の連続に波とばかり呼称する定説になおも甘んじて
妊婦であり太陽であるおんなが、得体の知れぬ武器を手に燃え尽きてしまった
砂浜には頭に鳥を乗せた杭が呆然と立ち尽くしている。

雨雲が近付く度軋む海の鉄骨を錆びさせたのは思考である。
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