海を毟る/黒川排除 (oldsoup)
 
寄る辺なきひとの波に影を投じる月の輝く空を放っておけば雨があがる。
泥と砂の間のぼやけた境界線にもやはり与えるべき色がある。それを接触と呼ばせる
行動の中に既に未然の行動の中に通っている線を与えんとするならば、それを接触とする
さえずり、よもやこのさえずりを昼下がりと呼ぶものでもあるまい。

鳥は羽根を空に撃つ。
なれどわたしは空気を吸うのみ。呼吸をかばかりの恵みとすれば
徘徊の意図を容易く知覚した地理を裏返す風は断定の材料を拭った哄笑を巻き返す
すなわち街を臓器と呼ぶ肺、
すなわち影は太陽から奪った知力、
見せしめに働く陽炎が遠くであり近くである祭壇にひとり取り残されて

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