一月八日 白山郷共同斎場にて/山田せばすちゃん
 
  誰一人も
       あなたがいなくなった事実を
       まだちゃんと受け止めてはいません
       うちの次男坊はあなたの祭壇に
       見よう見まねでお焼香をしながら
       「おばあちゃんが早く帰ってますように」と
       お祈りしていました

       僕はすっかり生花のにおいが嫌いになり
       妻は父親に優しくなりました


大きな骨壷二つでも
母の骨の全部は
納まりませんでした

それでも父親は
ようやく満足したのでしょう

遺影を僕に
小さな骨壷を弟に任せて
自分は骨壷を二つ両脇に抱えて

それで母親は
すっかり我が家に戻ってきました

かさかさと鳴る
小さくて軽い母親は
来月
父親の立てた墓に入る予定です
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