波を纏いて/木立 悟
 



むらさき
火の景
とどろく光
風に鉄が現れるとき
雨のなかで縮む太陽


野を撫でる指
冬を揺らす輪
降りつづける淡い糸


止まらぬものの行きつく果てを
低い冷気に示しながら
よせてはかえす光


けだもののなかにけだものがあり
触れようとする手に融けてゆくとき
夜の花も 夜の鏡も
黄金色(きんいろ)の子を映しだす






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