きんぎょ/たりぽん(大理 奔)
 
窓のむこうに
降るのは
あかるい雨
夏の日差し
真っ白な雪

網膜の向こうで
立ちつくし暗転する
背中の音

いつも風景に
変移を求めていた。
わたしが変わっていく事になど
気づきもしないで

いつも期待されたとおりに
答えを解いてきたけれど
雨でも雪でもない
この明るさを
証明できないの

(羽がない!夢で見た翼がない!)

影も出来ない
ほんとうの世界に
放り出された
この存在の
未来を期待しないで、望まないで
わたしが
わたしですすめない

光の中で窒息する
ちっぽけな金魚
まばゆい夏の光のなか
窒息する金魚よ

震える指先で
冷たき掌で
紅きその瞳で
さあ、今こそ
呪文を唱えよ

(少女が龍になる、その呪文を)



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