或る夏の散歩道/成澤 和樹
ロクに舗装もされていない田舎道
透明な光線を遮って顔を上げる
グルグルと旋回している天上の鳶
彼らも疲れているのか高度は低かった
ガタガタの足腰を癒すように詠う
みちるやちるや
満ちるや散るや
ひらひらひとひら
向日葵ひとひら 踊るひらひら
ふとすると、鳶の羽根が一枚、僕の背中に
重力が半分になった
足取りも軽くなった
旅を続けよう。
ガタがきている水車小屋の傍ら
小夜の灯りすら眼に染みる
ギイギイと音を立てながら回転する歯車
大昔から回っていたのか速度は低かった
カラカラの喉を潤すように詠う
さゆるやさる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)