或る夏の散歩道/成澤 和樹
 
ロクに舗装もされていない田舎道
透明な光線を遮って顔を上げる

グルグルと旋回している天上の鳶
彼らも疲れているのか高度は低かった

ガタガタの足腰を癒すように詠う

 みちるやちるや
 満ちるや散るや
 ひらひらひとひら
 向日葵ひとひら 踊るひらひら

ふとすると、鳶の羽根が一枚、僕の背中に
重力が半分になった
足取りも軽くなった


 旅を続けよう。


ガタがきている水車小屋の傍ら
小夜の灯りすら眼に染みる

ギイギイと音を立てながら回転する歯車
大昔から回っていたのか速度は低かった

カラカラの喉を潤すように詠う

 さゆるやさる
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