ゲーセンテルホの子守唄/恋月 ぴの
を巻いている
糊の効き過ぎたバスタオルからは
何故か潮騒のにおいがして
渋谷、原宿、代々木、そして新宿
たった3駅先の距離が
まるで地球の反対側へ達するかのように
親娘の距離は遥か遠く隔たっている
Crowはマリーの事を片時も忘れない
あの新宿花園神社でマリーの帰りを待って
Crowはひとり石段に座っている
マリーはエッチ巻きのバスタオルの中で
ゆるゆると腰をくねらせている
そんなものかも知れない
実の親娘なんて
しがない父親と一人娘の関係なんて
男はグラスの縁に軽く溜息をつき
マリーに促されソファーから降り立つと
閨房に向う夜行列車に飛び乗った
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