逃亡/チアーヌ
 
いよう
追いつかれないよう
でも足は鉛のよう
ぬめぬめした巨大な手足のある鯰は頭から血を流しながら
腹を見せると気味の悪いぽっかりとした口をあけて
そこには小さな歯が数え切れないほど生えて
なんでこんなに歯って気持ち悪いんだろう
来ないで
来ないで
そこに外国人の少年が通りかかる
けれど言葉が通じないから助けを呼べない
わたしは曲がり角までなんとか逃げようとする
そこを曲がれば懐かしい家がある


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