平和ヲ祈念ス/秋扇
 
千羽鶴 この日に平和を祈りたし
         飛び立て世界へ このヒロシマから


花抱(かか)え 父の死に場所 来てみても
        そこにあるのは ただ碑(いしぶみ)のみ


核兵器 無くなりたる時 消える火は
          今日も燃えさかり 暑き夏の日


祈りの火ゆらめく向こうに眠る人 
        今年も増えて 二十四万二四三七人


二歳の子 はくパンツさえ被爆資料 
          母の思いは如何ばかりか


食べ物に困りし時代(とき)の弁当箱 
       黒炭(くろすみ)になりても母の思い詰まりたる




謝って欲しい訳じゃない原爆投下
      ただ 三度目があって欲しくないだけ
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