約束の丘/kimuko
澱んだ空の下
道なき道を
ただひたすら歩く
幾人もの命を飲み込んだ
機銃さえ今は
この傷だらけの体を支える杖
きっとこのまま倒れてしまえば
苦しまずに逝けるけれど
あそこまで
あの約束の丘までは
生きていたなら
無事でいたなら
必ずそこで会おうと誓った
君は待っているだろうか
平和だった空の下
迫りくる黒い影を
誰も予期できなかった
嵐のごとく悪夢が過ぎ去り
戦い終わった今
俺は生き残った悲しみに暮れる
吹き飛んだ左足の痛みは消えて
流れ出る血も尽きたけれど
もう少し
あの約束の丘までは
生きていてくれ
無事でいてくれ
必ずそこで会おうと誓った
君よ待っていてくれ
薄れゆく意識の中
手を伸ばしたその先に
君の優しい微笑が見える
幻でもいい
もう一度抱きしめたかった
あの約束の丘で・・・
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