僕たちの詩/成澤 和樹
キャッチボールしよう
あめ色に拡がる陽炎の向こうから
胸に光る勾玉の下げ飾りをつけた少年が叫ぶ
他に人影は無い
揺らぐ時流
熱気流に渦巻く少年の瞳
キャッチボールしよう
空色に拡がる水たまりの向こうから
日に焼けた腕を振って少年が叫ぶ
他に言葉は無い
零と壱の組み合わせのような言葉から
やっと、自らの
あめ色と空色の組み合わせのような言葉へと
渦巻いてゆく、組み合わせてゆく
言葉の坩堝
キャッチボールしよう
無色に駆ける虹の向こうから
聴いたこともない声で少年が叫ぶ
未だヨチヨチ歩きのそれを
まだ、未だ完成しないその言葉たちを
陽炎の、水たまりの
無色の虹の向こうまで
力いっぱい投げかけて
創ってゆこう
僕たちの詩を
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