手を/船田 仰
雨上がり、計算されてない電線を見上げると
目覚ましなしで起きた朝みたいな気分がする
かえりみちもその途中もゆらめいて
似ているから不思議だ
並んでいる足のいちばんさきで
わたしたちはきっと似ているとおもう
くちびるやらお腹やらかかとやらが含む
たくさんの素敵を
あたしは目をつぶってつまむことができる
神樣は泣いてない
だってあたしの隣にいるから
手をあげろ
交差しないままで
必要、の権利を主張したらいいんだよ
それはかなしいことではない
ねぇ、手をあげろ
目をつぶって指先が冷えてもいいから
もたれた壁があったかくてもいいから
いいから
そこにある手を
見ていられるよ
手をあげて笑ったらいいんだよ
にやり
あたしはかみさまのピアノも涙もほんとうは知らない
笑って、そして、
うつむいて手を
かえりみちにつきさせばいい
蹴っ飛ばしてどんなかげも
ね
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