隙間/Fujiwara Aki
鮮やかな青春の残像が鋭く深く、私の理性の隙間に入り込む
紺色のオブラートに包まれたそれは
誰も触れることの無い呼吸を営み
現在の全てを拒絶する
何故の存在で、その奇妙な横顔を垣間見せるのか
鈍い痛みの破調に包まれ
時折、私は、夢を見る
あの出会いの日から 別れの日まで
意味ある9年の全ての日々に少年の彼が居た
基礎なる思いは、信仰にも似たような
二人の鼓動は、同じ時を刻み
心の叫びは、共鳴し
瞳は、月の行方を観つづけた
あれほどまでの精神の充実を私はこの身で受けていた
処理しきれない程の雑音の中にあって
少年の彼と少女の私は、清音を知り走り抜けた
美化された過去を見たとき
罪を犯した妻となり
抵抗は、やがて心に歪みを生ませ
満たされぬ現実が解放を望だす
理性の裂けた隙間は、間を広げ
私は、隠れて苦笑する
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