ひとりのとり ?/木立 悟
 


雲になる花
見えない鳥
午後は夜より深く
地は空より暗く
屋根だけが鈍く透きとおる



高く遠いひとつの窓が
誰もいない部屋を明るく照らす
ちぎれずにいる雲から先に
逆らいがたい夜を身につけてゆく
まとうように
陰を背にまたたかせる



異なる風
異なる羽
出会えば互いに滅びる翼が
ひとりのとりの身体に棲み
明るい霧のようにかがやき
空を恐れ なお
飛びつづける






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