全然話が違いますね/tonpekep
 
わたしはあなたの声の中に家を建て
夏の風をちょっと吹き入れて
声を聞きながら
寝そべっている

わたしに用事はなかったのですが
あなたの方で用事があるらしく
声色をぴんと伸ばして
いそいそと我が家へ帰っていくのでした

ほんとうの事をいうと嘘になるけど
あなたの声がわたしの足を作ったのです
あなたから駈けだして
わたしは詩を持ち出すことができたんです

全然話が違いますね
わたしは口約束を
破るために生まれてきたわけじゃないけれど

詩を書くことは償いになるのか
詩を書く暮らしは罪になるのか

空や海または光の加減さえも
詩を許し続けている
わたしもあなたも
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