顔/長月 猫
 
電車の中で

窓に映る彼の顔を見つけた

目は虚ろで

その顔からは生気を伺うことはできなかった

「笑いなよ」

そう思ってみる

「何そんな不景気な顔してるの」

そう思ってみる

「笑ってみなよ」

「幸せが逃げてっちゃうぞ」

笑わない

笑わなかった

彼は笑うことを忘れてしまったのだろうか

それとも笑うことを拒絶してしまったのだろうか

彼は笑わない

でも

私はいつか彼を笑わせてあげたい

彼の笑顔がみたいから

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