木の葉の舟に乗って/銀猫
突如現れ行く手を阻む
急流の渦に
巻き込まれぬよう
さらわれぬよう
細心の注意を払っていたのだが
この淀みにはちょっとお手上げ
けれど
もっと流れに乗って
海を目指さなければならぬ
何故にこんな小さな緑の一片を
舟と選んでしまったか
今となっては定かでないが
とにもかくにも
海に着くまで僕の舟
半分は時の運
半分は汗と涙と
流木に追い越され
滝に飲まれるであろうこの先も
僕は舟を捨てない
いつか大海の片隅から
世界中に向かって
人生を叫ぶために
声が枯れるほど
人生を叫ぶために
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