プルシャプラの石工/佐々宝砂
 
練菓子のなかの干あんずを探るように
俺はストゥーパのなかを探ってみた

縞瑪瑙がひとつ布に包まれてぽつんとあった
そんなものだそんなものなのだと
以前誰かに聞かされてはいたのだけれど
俺は落胆せずにはいられなかった
しかし縞瑪瑙に頬ずりせずにはいられなかった

仏陀よ
俺は知ってしまった
貴方がストゥーパに眠ってはおられぬことを
縞瑪瑙は尊い石だが
貴方は縞瑪瑙ではあるまい貴高い方よ

仏陀よ
俺は貴方の御姿をいちども見たことはない
しかし俺は夜毎夢に見る
貴方の貴い顔を
貴方の貴い御姿を

俺はつまらぬ石工だが
幼い頃から石を削る術を学び
人の顔も山
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