『三次元ポケット』/しろいぬ
子の元へ駆け寄ったらそこは風呂場で拒絶された
希望と諦観は いつも抱き合わせ販売されている
僕の猫はロボットではなく
ポケットも三次元で
いくら覗いても未来の自分はビン底のような眼鏡をかけていて
誰かに助けを求めたくても青い影しか思い出せない
僕はしかたない と呟いて
短くこみあげる嗚咽だけを
あたたかい内臓の奥へ 大事に大事にしまいこんだ
そして今夜も 眼鏡を30分かけて綺麗に磨き
ポケットを 丹念に丁寧に四つ折りにして
枕の下にそっと差し込み 瞼の裏に全力で溶けていった
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