君が悪いんじゃない 「トットとトットちゃんたち」黒柳徹子/白糸雅樹
か途方にくれさせるものでしかないだろう。何もできない、そして自分が恵まれた立場であることを否定せず、佇む時に出てくるのが、「気の毒」という言葉なのだろうと思う。
「気の毒」という言葉は、気の毒だと言われる人々を軽視するものではない。実際、「気の毒」といいながら、そう言われる子どもから「あなたのお幸せを祈っています」と言われた時の尊敬の念をこの本は書き落としていない。「これでゲリラをお探しください」とユーモアのつもりの言葉を添えて渡した双眼鏡を、「いいえ、これで未来を見ましょう」と受け取られた時の気持ちも書き落としていない。
そして、飢えに苦しむ国の子どもたちの、誰一人として自殺願望を持っていない、という。
この本でリポートされている各国の状況は、今から見れば古いものが多い。しかし、このように社会があった、ということをことさらな言上げもなく無邪気に語られている、この本を、やはり読んでよかったと思う。
2003/12/18
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