おわり、/シギ
 

通り過ぎて行く
その人の足音に
深く
耳を澄ます

ねえ
何処に行けば全部終わるのかな

思い出すのは
いつかの美術館に飾られた
何の変哲もない
花、で

無機質な空間の中
唯一、鮮やかであった
花、だった

その時、あなたと
もしも手を繋いで居なかったのなら
私は一生
帰ることは出来なかった

笑って言うのだけれど
私は、実は本気で

あの無機質な空間に
初めて
終わりを見た気がしたの

通り過ぎて行く
その人の足音に
深く
耳を澄ます

時は進んでいる
街から街へ
木から木へ
絶え間なく
絶え間なく
せわしなく

足を止めること、なく


(此処には、終わりは無いみたい)

だから私はまだ行かなくちゃならない
いつかの

あの、花を探して
あの、青い花を探して
あの、青い薔薇を探して


(此処には、終わりは無いみたい)

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