窓/yo-yo
ちっちゃい鯨ね
ぼくの絵日記をみて母が言った
海色の夏休み
まちの博物館の
部屋いっぱいに展示された鯨の骨を
ぼくたちは見上げながらスケッチした
せんせい、鯨も夢をみますか
みんなの笑い声で
先生の答えは聞きとれなかった
船の窓を模したという博物館の丸い窓を
ぼくは青く塗りつぶした
骨のままで眠りつづける鯨
夢のなかで
夢のそとで
ぼくはさがし続けた
丸い窓には
空と海しかなかったけれど
ときどき鯨の夢をみる
鯨は草原を泳いでいるのかもしれない
緑色のながいながい夢だ
繋ぎとめられた無数の鯨の白い骨のように
ながい夢は目覚めることができない
だから、おかあさん
ぼくはまだ帰ることができません
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