熱帯夜、扇風機のとまるとき/
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あたりまえだ
タイマー設定してたのだから
だが羽根がとまったとき
そこにわずかに情感が生まれた
羽根はぴたりととまらずあいまいにゆらりととまった
一般的に動いているものが動かなくなるとき
それはときおり死を連想させるが
その扇風機はごく小さな余韻をのこした
そしてそれはあたたかな余韻だった
私はそのあたたかい死についてしばらくの間
想った
そして
それから
熱帯夜であるからして再び扇風機をまわした
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