熱帯夜、扇風機のとまるとき//////
 
あたりまえだ

タイマー設定してたのだから

だが羽根がとまったとき

そこにわずかに情感が生まれた

羽根はぴたりととまらずあいまいにゆらりととまった

一般的に動いているものが動かなくなるとき

それはときおり死を連想させるが

その扇風機はごく小さな余韻をのこした

そしてそれはあたたかな余韻だった

私はそのあたたかい死についてしばらくの間

想った

そして

それから

熱帯夜であるからして再び扇風機をまわした 







戻る   Point(4)