星のうまれるところ/汐見ハル
 
ふりつもる夜の殻が
ふみしめるたび
かわいた音を立てて
砕ける
名前を思い出せない花の香りが
密度を増した湿度となって呼吸を
奪う
夜の果てにたどりつく
手っ取り早い方法は
眠りなのに
はがしてもその向こうに
幾重にもかさなる
うすい花びらに包まれている
そんなふうに
夜の果てをさがしあぐねて
もう眠りつづけることが
できなくなってしまって
あてどなくあるく
 
いつまでも明けない夜の底で
ふと
しろくひかる、小石
蛍のようにあわくにじむひかり
てのひらにすくえば
こぼれおちる
ドライ・フレークス
わたしの、闇
のこされた小石を
ほんとうには
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