はじまりの、願い/菅原 夕輝
 
「誰しも、初めてから始める」なんて。
諭すように言われた、朧気な記憶

けれど、初めてなんて何ひとつなくて

ぜんぶは、きまりごと。
その決まりごとの中で藻掻くの。

初めてはレールの上に乗っている、
ちょこん。
動き出すうち踏み潰す、
がこん。

生きる意味なんて、忘れちゃったよ。
でも、生きるべくして生きている。

そうやって…不確かに願う

ただ手のひらに在るのは
『始まり』だけ。
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