遠共鳴(窓)/木立 悟
 



燃える樹の前のからだと花束
つづくことのない美しさ
よく磨かれた場所
磨かれない場所
異なる響きがありつづける場所


空のまだらが午後になり
かかげた手のひらに降りてくる
木の葉のかたち 光のかたち
透明な火が
何本も何本も突き刺さる
腹から背へと貫きとおり
羽のない翼のようにひるがえる


くりかえし鳴りながら
遠去かる鈴の音
部屋のすみの
忘れられた枯れ花の影だけが
壁一面に咲きひらき
青いガラスのまわりに
青い光が幾重にも巻きついて
少しだけ残った緑の水を通して見える姿は
ありえない空の花のようだった






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