美しく歪む。/有邑空玖
時々自分が何をしたいのか判らなくなる。
したいことはあり過ぎるほどあって、
でも判らなくなる。
弱いんだろ。
強い振りしてさ。
本で指先を切った。
血が滲んで、それを見ると安心する。
怪我をすると、生きている気がする。
歪んでるんだ。
判ってるんだ。
繃帯を巻くと安心するだなんて、
歪みでしかないじゃないか。
でも、
繃帯の白さだけが、味方なんだ。
戦うだけさ。
勝ちに行くしかないだろ。
ずっと、ひとりぼっちのような気がするよ。
気のせいだといいな。
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