マンホールの神様/スプートニク
 
3m先のマンホールが回転している。
びくっとして立ち止まる。
振り返っても夜道には人気がない。

すぽんっと、穴から神様が現れた。
マンホールの蓋はくるくる回転しながら、寿司屋の屋根に落ちた。

神様は目の前でふるふると震えている。
神様はやや太めでマンホールにぴちぴちと腹回りが乗っかっている。
神様は向こう側が透けて見える。ゼリーみたいだから。

言い忘れたが目の前で小刻みに揺れている神様は巨大ミミズだ。
どうしてそのミミズが神様と解ったのかと言うと、
ミミズが自分で、「私はマンホールの神様だ」と、言ったから。

正確には、「私はマンホールの神様だ」と、伝えてきた。
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