一つぶのカプセルの中で/ヒビノナコナ
煙が隙間を埋めていくので
わたしは思わずフタを開きました。
殻の中を出たいと思っても、
そこまでひらめく元気はありませんでした。
煙が抜けたときに
貴方はとっても怪訝な目をして、
煙を寄せ集め 紙に乗せたことを
わたしはよく覚えています。
それをゴミとして捨てたあと、
少しめんどくさそうに
わたしを飲み込んでみせました。
それから、三年が経ちましたけれど、
煙を吸えばすうほど苦しかったはずなのに。
何故か煙の中にいたほうがよかったのではないかと
ときどき思ってしまいます。
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