空の子/ヤギ
サワレナイという女の子がいました
何を贈られてもそれに触れないでかなしそうに笑うので
そう呼ばれていたのです
サワレナイはある朝、さみしい夢に目を覚ましました
そして、毎朝そうやって起きていたと気がつきました
いつ頃からだったのでしょう
見る夢がさみしくても生きていけますが
まるで冷めたスープを飲んでいるような、つまらない気持ちでした
そんなとき、街外れに良い医者がいると聞き、診てもらいました
医者は両目をのぞき、心臓の音を聴いて言いました
「これはいけない
君はね、人を信じることができないんだ
それも決定的にね
このままでは一生さみしい夢を見続けるよ
治すのはとて
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