青/木立 悟
 



音の空から斜めは降る
親しげな空ほど
高みへ去る
列は青く
青は遠い


朝の月や朝の星
鳥や雲に重なったまま
水底の火を見つめている
けしてけして澄むことのない
濁りの行方を見つめている


錆びた野に夏は短く
風はただひとりを照らす
大きく曲がる原と川を
日陰から日陰への道のりをゆく
青と銀のひとりを照らす


誰も通らぬ径をすぎ
誰も見ない日々をゆく
星の明かり 傷の光
爪跡の青
爪跡の青 降りそそぐ


棄てられた地にかがやく水
にじむ瞳ににじむ瞳を映すとき
声は遠い声を呼び
空を洗うひとつの波が
星の青をすぎるのを見る





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