骨/
 
とも、泣いていたことも、怒っていたことも、
その声も、全部一緒に燃えて灰になってしまう。
そうじゃなければ、過去と呼ばれてだんだん見えなくなっていく。

だんだん見えなくなって、
あの人は誰にも見えないけれど、この空の上に拡がっているんだろう。

起き上がってみる。
僕は何の変哲もなく、特別でも何でもない。
淋しいけれど、もう涙は出ない。
僕の中のあなたはやっぱりのんびり歩いているその人だ。
穏やかな真昼、真っ青ないい空が広がっている。
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