骨/
桜
とも、泣いていたことも、怒っていたことも、
その声も、全部一緒に燃えて灰になってしまう。
そうじゃなければ、過去と呼ばれてだんだん見えなくなっていく。
だんだん見えなくなって、
あの人は誰にも見えないけれど、この空の上に拡がっているんだろう。
起き上がってみる。
僕は何の変哲もなく、特別でも何でもない。
淋しいけれど、もう涙は出ない。
僕の中のあなたはやっぱりのんびり歩いているその人だ。
穏やかな真昼、真っ青ないい空が広がっている。
戻る
編
削
Point
(9)