原の歌/木立 悟
 
 


青い絵が燃えている
二つの円が溶けてゆく
月の上に咲いた花
まぶしさのなかに消えてゆく


いくつもの想いが踊り出す
いくつもの響きが
いくつもの震えを撒きながら
次の夜へと遠のいてゆく
失われた声
失われた言葉
いくつもの原を過ぎてゆく


雨を奏でる指がかがやき
奪われ 隠された人々の歌が
いつまでも月から降りてきて
雲の火の下
歌うたいの子の指先に咲く
雨の素顔を見つめていた







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