走る羊/
岡部淳太郎
乗せた道
それは一本の細長い紙のように地表からはがれ
羊たちはなおもその上を走る
やがて道の終着点を越えて
羊たちは夜の中空に投げ出される
落ちることなく
羊たちは夜の空を駈け昇る
帰るところなく
羊たちは夜の空を走りながら飛ぶ
人はひとり完全に横たわる
ようやく訪れた眠りの中で
声もない羊たちについての美しい夢を見る
個人サイト「21世紀のモノクローム」より
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